米子市『東福原の家2』の壁に使用する、特注タイルのサンプルが焼きあがりました。
このたびは一般的なタイル会社ではなく、瓦屋さんに依頼したもの。
通常タイルは、『プレス成形』といって水分が少ない土を金属の型に充填して高圧プレスをかける工法ですが、このタイルは『押し出し成形』といい、水分多めの粘土を押し出し成形機で“ところてん”のように押し出してカットした工法。
含水率が高いだけあって自由度のある成形が可能で、高圧プレス工法では出来ない立体感のあるタイルが実現出来ます。
反面、吸水率が高いので凍結のリスクを考えると外部の使用にはあまり適していないでしょうね。
この住宅ではダイニングの幅1mくらいの壁を“ワンポイント的”に使うことで、空間を引き締める求心性のある壁となるよう意図しています。
色は来待色(チョコレート色)と黒にワインレッドを混ぜ合わせた2種類の釉薬で製作いただきました。
どちらも高温焼成した石州瓦らしい硬質でクールな表情の中に色ムラのある素朴な素材感が窺えます。
中央を窪ませた長細い形状は、含水率の高さ故にねじれやすく、ギリギリ許容できる30センチの長さで製作。
一枚一枚若干の不均一が面になることで工業製品にはない自然の表情を造り出し、凹凸の素材が陰影を造って力強い壁になることを期待しています。