建築

グラントワ見学

先日は益田市の芸術文化複合施設『グラントワ』に、設計者の『内藤廣』さんが来られるとのことで見学会に行ってまいりました。

 『内藤廣』さんは、必要最小限の素材を用いて建築を構成する、力強さと繊細さを兼ね備えた稀有な建築家。

 グラントワは屋根のみならず外壁まで覆われた、赤褐色の石州瓦が目を引きますが、これは数百年と変容しない素材、という観点から選定されたそう。

 ことグラントワに関しては、「内藤先生にしてはちょっと主張が強いのかな。」とこれまで足を運ばなかったのですが、くすんだ来待色の瓦と抑えられた建築のスケールが思いのほか街並みと馴染んでいて、自分の不明を恥じ入る次第でした。

 内部空間は内藤先生らしい圧巻の迫力。
 使っている素材はほぼ瓦とコンクリート、無垢の木材で構成。
 繊細な瓦タイルと木材は直線的に、杉の本実型枠を使った荒々しいコンクリートの壁はアーチや曲がりうねった壁として遺跡のような生命力を感じさせられます。

 このうねった曲がり壁は、実は大ホールの音響計画を反映させた形態。
 質量の高いコンクリートは減衰する音が少なくて、素晴らしい音響に繋がるそうです。

 この建築が出来て20年近く経つのですが、古びるどころかより味わい深くなっていくようで、携わるすべての方が愛着を持って使っていることが感じ取れます。

 最後に先生が最も大切にしているのが何か?という学生の質問に、「愛情かな。」と答えられた71歳の内藤先生。

 痺れました…。